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塗装が剥げて所々サビの浮いた外階段を上がり、
隣室の前を通って玄関のドアの前に立つときには
もう右手で鍵を握っている。
幼い頃からの習慣。
鍵っ子だったから。
シリンダーを回してドアを開ける時、
聞き耳を立てながらゆっくりとした動作になってしまうのも
習慣なんだろうな……
「ただいま」
誰もいない真っ暗な部屋にそう告げて、玄関照明のスイッチを入れる。
狭い玄関に入ると右側の壁の向こうにはもうキッチンのシンクがあって、
ダイニングテーブルは丸見え。
廊下は無くて左側がトイレとお風呂。
正面に２つの部屋が縦に並ぶ、
ウナギの寝床って呼ばれる間取りらしい。
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