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その後、
シャワーを終えてベッドでまどろんでると、
階段を上がってくるヒールの音と
次いで玄関のカギを開ける音が耳に届いた。
お母さんが帰ってきたみたい。
「いっちゃん。寝てるの?」
少しの間の後、
襖越しに聞こえた控えめな小声はお母さんのものだ。
「んー。お帰り」
思いのほか瞼が重い。
あたしは枕に頬を押し付けたまま応えた。
「ごめん。起こしちゃった?」
「ううん。うとうとしてただけ」
そうは言っても、
自分で思うより深い睡眠に入りかけてたのかもしれない。
身体がね。思うように動かない。
「そう。じゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
とろとろと眠りに入りながら
そう応えたのを最後にあたしの記憶は途絶えた。
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