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返事がないから襖を開けると、キッチンでばしゃばしゃ水を流す音がする。 洗顔中みたいね。 ウチは洗面所がないから、ハミガキはキッチンのシンクでやることになるんだ。 敷きっぱなしの布団を取りあえず半分に畳んでいると、 「おはよう。いっちゃん」 って、タオルで顔を拭きながらお母さんがキッチンから顔を覗かせる。 「おはよー」 「あっ。ごめんねー。直ぐにお布団仕舞うから」 言いながらスリッパの先をこちらに向けたお母さんを制して、 あたしは今しがた開け放った南側の窓を親指でさした。 「いーよ。やんなくて。 今日はお天気良さそうだから後で干しとくよ」 「ホントに! ありがとう。助かるわー」 すっぴんのお母さんは嬉しそうにそう言ってキッチンに戻って行った。 眉毛が半分ないのがちと怖いデス。
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