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「あっ。やっぱり聞こえてなかった?」
お母さんは鏡に向けていた視線をこちらに向けて言葉を継いだ。
「おやすみ言った後、話したんだけど。
今日は休日出勤になっちゃってー」
「へえーそうなんだ。
あ、もしかして何にも食べずに行くつもり?」
そう言うと、
子どもみたいに唇を尖らせる
堂野美津子 39歳。
「だって作ってる時間ないんだもん」
それは化粧に30分以上も時間をかけるからだよ!
とは言わず。
「朝食抜きは美容に悪いよ」
「会社近くのコンビニでおにぎりでも買ってくもん」
「不経済。あたしが作るからちゃんと食べてってよ」
言いながら、あたしは冷蔵庫を開けた。
後ろで39歳のはしゃぐ声。
「ホント! ありがとー。いっちゃーん」
はいはい。
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