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「そんなの馬鹿げてるよ!」
瞬間、店内に静寂が広がって
視線があたしたちの席に集まったのが分かった。
「宮本。落ち着いて?」
小声で言うと、
宮本はチラッと周囲に目を向けて「ごめん」と項垂れる。
「なんだか俺、悔しくてさ。
これじゃあの噂を再現したようなもんじゃん」
グラスに半分ほど入っていたコーラを
いっきに飲み干す宮本を見て、
喉の渇きを覚えたあたしは、
自分のグラスに視線を落とした。
「実際そうなんだから仕方ないよ」
一度も口をつけていなかったミルクティーは、
氷が解けだして表面に水の層が出来ている。
それをストローでかき混ぜてから吸い上げると、
薄い紅茶の味が口の中に拡がった。
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