◆7◆

8/33
前へ
/1202ページ
次へ
「ずっと―― 穂鷹を解放してあげなきゃって思ってた」 何とか涙をこらえて口にすると、 宮本の眉の間がぎゅっと狭まった。 「は? なんだよそれ。 何でそんな駆け引きみたいな言葉が出てくんの?」 「……」 「タカはイブちゃんのこと本気だったはずだよ。 全身全霊でイブちゃんのこと好きだって伝えてたじゃんか」 それも知ってる。 だけどあたしは、 穂鷹から全身全霊で好きだと伝えられるたびに 穂鷹の大きな愛情に包まれるたびに 心の核の部分を固い鎧で護ってたの。 「今はそうでも、これから先、 穂鷹にあたしよりもっと好きな人が出来たとしたら? ねえ、宮本? その時、穂鷹は自分からあたしに別れを切り出せると思う?」
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

808人が本棚に入れています
本棚に追加