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「……とまあそんなワケでして」
大まかな事情を話し終えて、
あたしはカラカラになった口をレモンティーで潤した。
あたしの話を呆気にとられた顔をして聞いていた那美は、
そのまんまの表情で口を開く。
「あの……さ。
北川があっさり負けるって……
私、今、脳裏にゴリラが浮かんだんだけど」
「ゴリラって……」
ぷっと噴き出すあたしに、
那美は瞳を尖らせて
「笑い事じゃないでしょ!」と詰め寄ってくる。
「経緯はどうあれ、
北川は衣舞のこと大事にしてくれてたし。
何気に2人上手く行ってたしさ、
私だって安心してたんだよ?」
「うん。ごめん」
上目遣いで那美を見ながらかくんと頭を下げたら
「んもーう」
肩をぱんぱん連打された。
あたし謝ったんですけど?
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