◆8◆

6/27
前へ
/1202ページ
次へ
あたしはベッドの枕元に置いていたクッションを引き寄せて そこにこてんと右頬を乗せた。 「どーしてだろー。 だけどね。自分に好意があるとかって、 表情だったり眼差しだったりさ、 何かしら伝わるものがあると思うんだ。 だけど、西園寺からは一切、そういったものを感じなかったの。 むしろ嫌われてるんじゃないかって思うくらい」 学校での王子の表情を思い出して唇を尖らせると、 ぱっと上体を起こした那美がびっくりした表情をして あたしの顔を覗き込んできた。 「ちょっと待って。西園寺って…… 西園寺グループの?」 「うん。西園寺零だよ。 那美、西園寺のこと知ってんだ? さすが有名人だね」 もしかしてこれからは 他校生からもそしりを受けたりするのかもなー。 あー面倒くさい。
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

808人が本棚に入れています
本棚に追加