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「うん。もちろん。
同じだねーとか
だから分かりあえるねーとか?
そんな戯言を言うつもりは毛頭ないよ」
大きな黒目にシーリングライトの光を宿らせて、
那美は真面目くさった表情でこちらを見ると、
低く抑え込んだ声で続けた。
「女の私にだって衣舞の痛みを理解する事なんか出来ないんだし。
同じ体験した者同士が必ずしも共感し合えるとも思ってない。
だけど、西園寺零が衣舞に興味を持ったってことは事実じゃん?」
その問いかけにあたしは頷いた。
たとえそれが好意だろうと悪意だろうと、
全く興味がなければ付き合うなんてことにはならないだろうからね。
「見た目が好みだったとか、話すうちに好きになっちゃった。
とかならいいのよ。
けどさ、衣舞の言うように、そうじゃないとしたら、
やっぱり理由は気になるよ。
妙な事考えてなきゃいいけどって」
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