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「あの子のお父さんってさ、 喧嘩に巻き込まれて死んじゃったんじゃなかたっけ?」 緩んでいた頬が刹那に強張った。 「なにそれ?」 「ナツミが話してたんだけど。 あの子1年のとき堂野と仲良かったじゃん? 本人から聞いたって言ってたよ」 「まじで!?」 「うっそー」 「喧嘩の仲裁に入って巻き込まれたんだって。 小1の時って言ってたかな? 堂野の誕生日の夜だったらしいよ?」 「うっわ」 「悲惨だわー」 「それなのに娘があんなって酷くない?」 「殴り合い楽しんじゃう娘だってー。パパかわいそー」 「「ほんとほんとー」」 「「きゃはは――」」 「あ。そろそろ戻らないとヤバくない?」 「だねー。行こ行こ」 ドアが開閉する音に続いて、 耳障りな声と音が遠のいていった。
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