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◇◆◇◆◇ つやつやぴかぴかの高級車ばかりが目につく地下駐車場に車を止めて、 2人で乗り込んだエレベータ。 内部はサンドベージュに黒で描かれたダマスク柄の布が張られていて、 背面に掛けられた鏡にはうっすらと透かし模様が入っている。 エレベータひとつをとってもハイグレード感がハンパないね。 慣れない高級感に居心地悪く扉の上部にある階数表示を見上げていると、 下ろしていた手に、ひんやりとした指先が滑り込んできた。 視線を向けた先では、 淡い光を放つアーモンドアイが柔らかな笑みを浮かべていて、 2人の間で重なった手は、 指を絡めあう恋人つなぎを作り上げる。 どくん。 と鼓動が跳ね上がる
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