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色々と違和感を覚えるけれど、 駐車場の入口ゲートやエレベータといった 所々に設けられたセキュリティを 王子は手に持ったカードキーで さくさく解除していて、 その動作に不慣れな間合いは少しも見当たらない。 少なくとも通い慣れた場所であることは疑いようがないみたいだ。 まぁ、ここが王子の自宅だろうと、違おうと、 別にどうでもいいってのが本音だけど。 焦げ茶色のカーペットが敷かれた内廊下は テレビで見る高級ホテルみたいに広々としていて、 重厚感漂う同色の玄関扉が左右に並んでいる。 王子は、そんな廊下の最奥 ひとつだけこちら側を向いている扉のセンサーに カードキーをかざした。
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