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「この部屋のどこで勉強すんのよ」 気を取り直してそう問い質すと、 あたしの反応を楽しんでいたらしい王子は、 くすりと笑っておもむろに足元を指さした。 「床?」 「はぁ」 床って―― しかも疑問形ってどーいうことよ! なんか馬鹿にされてるみたいでムカつく。 「……か、ベッド?」 続いた言葉に、 堪えていた右手が持ち上がって、 サイドの髪を乱暴に掻き上げる。 もうこのクセ直すの止める。 王子と付き合ってたら コレやらないと精神衛生上よくない気がする。 「勉強しないのなら帰る」 あたしはそう言って勢いよく踵を返した。 家までは歩いて帰れる距離だし 送ってくれなくても全然構わない。
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