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「落ち着かないってゆーか。好きじゃない」 王子は前髪長めのマッシュショートを右手でくしゃりと掻き混ぜる。 唇を歪めた表情は、とても居心地が悪そうではあるんだけど…… 「だったら、誰の趣味でコレがこの部屋にあるって言うのよ」 「前の住人」 「え?」 「テーブルなきゃ不便だろって置いてってくれたんだけど。 シュミじゃないし、なくても困らないから仕舞ってたんだ」 なるほどね。 たしかに真っ黒なカバーリングで統一されたベッドと シルバーメタリックのスタンドライトがある部屋に このナチュラル感は合わないでしょうよ。 その前に、 前の住人が家具を置いてく状況ってのがよく分からないけど。 「へーーー」 それ以上会話を掘り下げる気も失せて、 あたしは投げやりな返答を放ってラグに座った。
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