◆9◆

20/30
前へ
/1202ページ
次へ
「んー。て言うかさー。 もうちょっと生活感がある部屋にした方がいいのかなー…… とは思ってたんだよね」 「王子が今のままで良ければ生活感なんていらないんじゃないの? だって――」 この部屋で生活してる訳じゃないんだし。 続けるはずの言葉は王子の非難の声に遮られた。 「イーブー。王子禁止だって言ったよねー」 「そだっけ?」 白々しいってことは承知でとぼけると、 むくりと上体を起こした王子は、 テーブルに身を乗りだしてじっとこちらに視線を据えた。 「今度王子って言ったらベッドに運ぶよ?」 そのセリフに、 「……ぷはっ」 あたしは堪えきれず噴き出した。
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

808人が本棚に入れています
本棚に追加