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ひとしきり掌から髪の毛が流れ落ちるのを楽しんだ王子は、
その手を後ろに回して後頭部に添えた。
制服のスカートから覗く膝の横にもう片方の手を着いて、
じりじりと近づいてくる王子の顔と、
そちらに向かって込められる手の力に、
この後の展開は容易に想像できた。
もちろん今さら勉強が先なんて
空気が読めないようなことを言う気は無いし、
遅かれ早かれこうなるのは分かってたことだ。
自分の意思を手放したあたしが成すべきことは、
ただ流れに従って、
穂鷹に慣れたこの身体が苦痛を感じないようにと願うだけ。
熱い吐息が唇に触れるのを、
瞳を閉じて受け入れる。
角度を変えて繰り返されるキスは、
唇同士の接触に過ぎない。
こんなモノを特別なことだなんて、
思えてたあたしは、
今はもうどこにもいない。
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