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幸いだったのは、触れる手が乱暴じゃなかったこと。
これなら苦痛は少なくて済みそうだと思っていた。
目を閉じて、
ただひたすら別のことを考えながら気持ちを切り離す。
ある意味ルーティン化した作業。
服を乱されて、時間にしたらほんの数分、
ふと、身体に触れる手が止まっていることに気付いた。
耳の裏側やその下辺りを彷徨っていた唇も、
今は身体のどこにも触れてない。
不審に思って目を開けると、
……え?
眉をひそめて、
まるであたしを射抜こうとでもするような、
鋭い瞳と表情が眼前にあった。
直ぐにいつもの飄々としたものへと変貌したけれど――
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