◆9◆

27/30
前へ
/1202ページ
次へ
「いーぶー。少しぐらい抵抗するとか、恥らうとかしようよー」 いつもの調子で放たれた言葉。 だけど胸中では別のことを考えてんでしょ? 別に知りたいとも思わないけど。 お互いの体温を感じるほど身体は密着していて、 顔だって今にも鼻先が触れそうな距離だけど、 きっとあたしたちの心には途方もない隔たりがあるんだろうね。 「そういうのがお好みだったの?  ではイゴキヲツケマス」 て言うか『以後』がないことを期待します。 つまらない女だって分かったでしょうし? そんな思いで放った言葉に、 王子は盛大な溜息を吐きだして、 隣にごろんと身体を仰向けた。
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

808人が本棚に入れています
本棚に追加