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「萎えた」
「はは」
嘘つき。
もとから欲情なんかしてなかったクセに。
その証拠に
着ている服も、息だって
少しも乱れてないじゃん。
あたしは身体を起こして
ベストの下で全開になったワイシャツを直すことにする。
上から順番にボタンを留めていると、
髪を一束掴まれて、くいっと後ろに引っ張られた。
「やめ――」
「ねぇイブ」
抗議の声は王子の呼びかけに遮られる。
「なによ?」
「イブは俺のことが好きなの?」
は?
何を言ってんだろ、このおめでたい王子サマは。
「好きなわけないじゃん」
「だよねー」
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