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髪を軽く引っ張られては力が抜けて、
きっとまた指先からサラサラって滑り落とすアレをやっているんだと思う。
何が面白いのかはなはだ疑問だけど、
べつに邪魔になる訳でもないし、
好きなようにやらせることにしましょ。
「喧嘩が強い男が好きなんじゃなかったっけ?」
その問いかけにボタンを留める手が止まった。
首を捻って、肘枕で横になる王子に目を向ける。
「……あたしの前で喧嘩をする男は好きじゃない」
一瞬、瞳をこちらへ向けた王子は、
直ぐにその眼差しを指先に戻して
さらりと毛先をすくい上げる。
「ふうん。
じゃあイブは北川クンのことも好きじゃなかったってことだ?」
「キミには関係ない」
あたしも顔を胸元に戻して
シャツのボタンを留め終えた。
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