◆10◆

14/30
前へ
/1202ページ
次へ
どちらにしても、 今後のこともあるし、ここはちゃんと伝えておかないとね。 「あのね。キミには分からないと思うけど。 バイトでお小遣い稼ぎしてるような貧乏学生に こんなお店のディナー代なんてそうそう払えないの」 はっきりと直截に告げると、 王子は困ったように眉尻を下げた。 「もしかして、イブ。ここでもワリカンとか言い出すつもり?」 ここでもって言うのは、 ランチのファストフード店で あたしが別会計を譲らなかったからだ。 「あたりまえよ。 特別な日ならともかく、 学生同士の付き合はワリカン、 もしくは別会計が常識」 とあたしは思う。 俯いて襟足を右手でくしゃりとした王子は、 そのままの体勢で左側に座るあたしに目を向けた。
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

808人が本棚に入れています
本棚に追加