808人が本棚に入れています
本棚に追加
「イブって変わってるよね?」
「そ? てか、どう思われても構わないけど」
あたしはつんと顎を逸らした後、
ドリンクのストローに口をつけた。
ひと口飲んで、
少し甘みを足そうとシロップに伸ばした手を
横から伸びた王子の長い指に掴まれる。
なに? 嫌がらせ?
「なによ?」
唇を尖らせると――
「可愛くない」
は?
王子は失礼なワードを遠慮もなく吐き捨て、
反対の手で小さなガラスのピッチャーから
あたしのグラスにシロップを注ぎ入れた。
ストローでかき混ぜられる氷が淡いサーモンピンクの中で
カランコロンって綺麗な音を奏でる。
「はい。飲んでみて」
ぼんやりとその様子を眺めていたあたしは
差し出されたグラスをうっかり受け取ったけど――
『可愛くない』発言はどうなったの?
最初のコメントを投稿しよう!