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「イブって変わってるよね?」 「そ? てか、どう思われても構わないけど」 あたしはつんと顎を逸らした後、 ドリンクのストローに口をつけた。 ひと口飲んで、 少し甘みを足そうとシロップに伸ばした手を 横から伸びた王子の長い指に掴まれる。 なに? 嫌がらせ? 「なによ?」 唇を尖らせると―― 「可愛くない」 は? 王子は失礼なワードを遠慮もなく吐き捨て、 反対の手で小さなガラスのピッチャーから あたしのグラスにシロップを注ぎ入れた。 ストローでかき混ぜられる氷が淡いサーモンピンクの中で カランコロンって綺麗な音を奏でる。 「はい。飲んでみて」 ぼんやりとその様子を眺めていたあたしは 差し出されたグラスをうっかり受け取ったけど―― 『可愛くない』発言はどうなったの?
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