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「イブでしょ?」 笑いを収め隣に腰を下ろした正体不明の男子は、 グラスを置くと唐突にあたしの名前を口にする。 まぁ、あの部屋に上がったこともあるみたいだし、 王子とも親しい間柄なのだろうから驚きはしないけど。 あたしがおもむろに頷くと 初対面のこの男子、 「いぃーーーぶぅーーー 会いたかったよーーー まぁいすうぃーーーとぉーー」 態度が豹変した。 「わっ――」 突進する勢いでハグされて、 傾いだ肩を王子に支えられる。 首だけで振り返ると、 苦笑する王子と目が合った。 「あ。こいつ。この前の電話の犯人」 「うん。だろうね」 こんな知り合い1人で十分だ。 2人も3人もいたら堪ったもんじゃない。
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