◆11◆

7/40
前へ
/1202ページ
次へ
◇◆◇◆◇ 11月に入ると朝晩の冷え込みがぐっと深まった。 親が生まれたのと同じ年代に建てられたアパートは 最近の建物ほど断熱も考えられていないし、 そもそも隙間風がハンパない。 真冬なんか朝起きると吐きだす息が白いとか 普通にあるしね。 おかげで結露は少ないよ? そんな冷え切った早朝。 学校が休みの土曜日だというのに 布団に包まってぬくぬく心地よい至福の時は 耳慣れた電子音にまんまとブチ壊された。 「んー……なに……」 カーテンの隙間から差し込む光はまだ淡く、 起き上がろうにも身体が鉛のように重く感じた。 緩慢に首を捻って壁掛け時計を確認すると――― はぁ?  まだ6時前だった。
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

808人が本棚に入れています
本棚に追加