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『さぁ。でもこの辺り野良ネコとか見かけないし、 こんな雨の中放っておけないから連れて来たけど、 お腹空いてるのかずっと鳴きっぱなしで、 ちっとも鳴き止まないんだ』 ――え? ――雨? 電話に気を取られて気付かなかったけど、 確かに外からは雨粒が屋根や庇を打つ音が聞こえてくる。 『身体もずぶ濡れで冷え切ってるし、 コンビニとか行ってる間に何かあったらヤじゃん。 良太郎はきっと帰るなり爆睡してるみたいで 電話に出ないしさ』 しきりに鳴き続ける猫の声と 困った様子の零の声を聞きながら あたしは既にベッドから降りて パジャマのボタンを外していた。
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