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「どうしたの?」 もう一度問いかけると、 スッピンのいつも以上に若く見える面貌が困惑の色を湛え、 すっきりと整った二重瞼の双眸が数回宙を彷徨った後、 おもむろにこちらへ向けられた。 「あの……ね。ママも夕方から出かけるから……」 なんだ。そんなこと? 言い難そうにしてるから何かと思えば、 そんなの珍しいことでもないんですけど? 「でね。えっと……もしかしたら 泊まりになるかもしれなくて……ね?」 もじもじしながら 機嫌を窺うように上目使いに顔を覗き込まれる。 あ。そーいうことね。 その意味を理解してあたしはぷっと噴き出した。 だってコレ。 普通逆じゃない?
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