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「な、なによ?」
にやにや笑うあたしに
拗ねた様子で唇を尖らせる美津子(39才)
「若い娘じゃないんだから
恋人との外泊ごときで恥らうこともないんじゃない?」
「こ、恋人と。なんて言ってない」
「あれ? 違うんだ?」
って心にもないセリフを放ってみる。
すると、
「ち、違わない……けど……」
もちろん想定通りの言葉が返ってきた。
「前の人とは同棲だってしてたんだし。
恥ずかしがるとか今さらだから」
口の端を上げ半笑いでそう言うと、
お母さんは目を瞠って、
それから気まずそうに視線を逸らした。
「あの時は、いっちゃんまだ子どもだったし!」
子どもだった……ね。
ま、いっか。
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