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3人で過ごしたあの幸せだった生活は 10年前に途絶えてしまった過去の時間でしかなくて、 どんなに願っても祈っても もう2度とあたしの許に訪れることはない。 そんなことは充分理解しているつもりなのに、 時折ふとそう実感する度に 胸の奥がきゅっと絞られて 言いようのない寂しさに見舞われるのは仕方がないこと。 だけど それだってほんのわずかな時間でしかなくて、 それ以上の気が遠くなるほどの時を あたしたちはこれからも生きていかなければならないのだから、 そのために前を向いて足を踏み出すのは必要なことで、 心が変わっていくのだって必然なんだと思う。 だから、 パパ以外の人を好きになるお母さんを 誰も咎めることは出来ないし、 そのことに あたしが胸を痛める必要もない。
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