◆11◆

21/40
前へ
/1202ページ
次へ
屋根のある外階段を下りながら パーカーとレインコートのフードを被り、 下りきった所で厚い雲が重く垂れこめる鉛色の空を見上げる。 「当分止みそうにないな」 雨音にかき消されるくらいの声でため息交じりに呟いて、 階段下の駐輪場に止めてある愛車の原付に鍵を挿し込んだ。 ◇◆◇◆◇ 駅前にある24時間営業のスーパーで 仔猫用のキャットフードとミルクを買って 零の住むマンションに着いたのは7時少し前だった。 悪天候のせいで何時にも増して安全運転になってしまったのと、 スーパーに寄った時に、 ずぶ濡れのレインコートの扱いに手間取ったのとで、 予想より30分近く遅くなってしまった。
/1202ページ

最初のコメントを投稿しよう!

811人が本棚に入れています
本棚に追加