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取り急ぎ、セキュリティーチェックの必要ない 駐輪場の片隅に原付を止めてエントランスに急ぎ 中を覗くと、この時間は勤務時間外みたいで、 コンシェルジュカウンターにも人の姿は見当たらない。 スーパーで一度使ったタオルはかなり湿ってるけど、 取りあえずそれで顔とレインコートを拭ってから ひっそりと静まり返ったエントランスに入って、 手早くレインコートを脱いだ。 「あ……」 指紋1つ見当たらないぴかぴかの自動ドアの脇で、 零の部屋を呼び出そうと伸ばした人差し指が 寸での所で固まった。 考えてみたら、 1人でここを訪れるのは初めてだったんだ。 部屋番号なんて知らないじゃん。あたし。
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