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湯たんぽ代わりのペットボトルに身を寄せるようにして
身体を丸めて眠る安心しきった寝顔に頬が緩み、
同時にその姿がぼやけて霞んだ。
もし零が朝帰りしていなかったら、
この子は今もまだ、
独りぼっち雨の中で凍えていたのかもしれない。
そう思うと
胸に熱いモノが込み上げて目の奥が痺れてくる。
「……良かった」
胸に迸った思いを口に載せると、
「何が良かったの?」
いつの間にか背後に来ていた零が
そう言って、あたしの頭にタオルを被せた。
「髪の毛濡れてる」
「ありがと」
上体を起こして振り返ったあたしに、
「こちらこそ。来てくれて助かった」
零はそう言って、また同じ問いを繰り返した。
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