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「でもどうしてだか今日は帰って来たんだよ。 ホントたまたま。今日はまっすぐ家に帰ろうかなーって」 零はそれだけ言うと、人差し指の腹で、 寝ている猫の頭をすりすりと撫でさすった。 「コイツに呼ばれたのかな?」 「ふふ。そうかもね」 「あ。イブ。今バカにしただろ?」 「してないよ。 零もそういう非科学的なこと考えるんだー って、意外だっただけ。 あたしそーいうの信じるタイプだし。 助けを求めるこの仔の声を、 零の心がキャッチしたんだよきっと」 そう言ったら、 不満気にあたしを見上げていた顔が嬉しそうに緩んで 次いでしたり顔に変わった。
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