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「コイツさ。俺が耳と耳の間の所こーやって撫でてやると
気持ちよさそうにゴロゴロ言うんだ」
ちょっぴり自慢げにそう言って、
人差し指の腹で耳の間をすりすりと撫でてみせる。
なるほど、だからずっとやってたんだね。それ。
「あんまりやってると起きちゃうよ」
「いいんじゃない? 起きても。
ミルク飲ませたいし」
「それは零の都合でしょ。
仔ネコはいっぱい寝かせなきゃいけないんだから。
それより、あたしレインコート干しときたいんだけど」
「ん? レインコート?」
突然の話題転換に零が撫でる手を止めて
淡い茶色の瞳を見開く。
濡れたレインコートは丸めて玄関先に置いたままだし、
愛車をあそこに置いたままでいいのかも分からない。
すやすや寝ているネコは
しばらく放っておいても大丈夫そうだから、
まずはそっちを何とかしなきゃね。
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