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小さくてふにゃふにゃな柔らかい身体を零の手から奪って、 頬ずりしながらめろめろ発言を繰り返すあたしに、 零がひんやりとした視線をよこして言った。 「イブ。ネコ鳴いてる。 お腹空いたって」 『にぁーん』 あ。 お腹が空いたって訴えてるかは分からないけど、 放せって言ってんのかもしれないけど! まぁでもお腹は空いてるよね。 「ごめんねー。ご飯食べようね」 抗議の鳴き声を上げ続ける腕の中の毛玉に謝って あたしはご飯の準備をすることにした。 人肌に温めたミルクとキャットフードをそれぞれ小皿に入れて前に置いてみると、 ネコはひとしきりくんくん匂いを嗅いだ後、 キャットフードの入った皿に顔を突っ込んだ。
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