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その様子を傍らにしゃがんで見ていた零が うわっっと声をあげる。 「汚ね。お前食べるの下手だなー」 真っ先にウェットフードの方を選んだ割には あまり食べ慣れていないのか、 ネコの口のまわりは一瞬にしてどろどろになってた。 「お皿の下に何か敷く?」 つやつやの真っ白な床にフードが飛び散って 見る間に酷い状態になっていくのを見かねて尋ねると、 零は眉を上げて苦笑した。 「今さらでしょ」 「っは。そうだね」 あとで掃除すればいっか。 夢中になってフードを食べるネコと、 傍らに座りこんでその様子を興味深く見ている零を カウンターチェアに座って見ていたあたしは、 雨足の衰える気配もない窓の外に視線を向けた。
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