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そんなことを考えてしまうのは やっぱりただのエゴなのだと思う。 最期を看取ってやることも出来ないのに、 中途半端に協力することが はたしてこの小さな命に対して 誠実だと言えるのか、 自分の中で答えは出ないけれど。 だけどね 眼前であたしを見つめる真摯な瞳を見ていると、 この選択しか思い浮かばないんだ。 「ネコの飼い方に詳しい友達がいるから ここで飼うならきっと力になってくれると思うよ?」 そう告げた時の零の表情は 取り繕ったいつものヤツじゃなくて、 初めて目にするホンモノの笑顔だった。 後になって考えると、 あたしたちの関係は、 この時から少しずつ 変わっていったのかもしれない。
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