808人が本棚に入れています
本棚に追加
/1202ページ
速い――
まるで踊るように
流動し
跳躍するカラダ。
けれど、軽快な動きを披露する
華奢な体躯から繰り出される打撃は
傍目にも分かるほど破壊力のあるものだった。
鍛え上げられた腹筋にめり込んだ拳を引くと、
前のめりに崩れかけた肩を掴んで、
続けざまに数回、腹部を膝で蹴り上げる。
「っく……は」
穂鷹が苦しげな声を漏らして前のめりになると、
すかさずシャツの襟を掴み、反対の手を添えて
床に向かって振り下ろした。
一切の無駄がなく動く体は、穂鷹と対峙すると
頼りないほど小さくて。
それなのに、
この華奢な体のどこからそんな力が湧き出ているのか。
最初のコメントを投稿しよう!