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王子は勢いに負け膝と両手をついた巨体を仰向けにさせると、
にやりと口の端を上げて大きな胴体に跨った。
「はい。マウント頂きましたー」
「っざけんな。西園寺ぃ」
地を這うような唸り声を上げながら、
体勢を変えようと足掻く穂鷹を、
王子は楽々と組み敷きながら、
「その威勢が何分持つかな?」
そう言って拳を振り下ろす。
穂鷹も直撃を防ごうと、両腕で懸命にガードするけれど、
常軌を逸する王子のパンチを全て防ぐのは無理なようだ。
顔を背けるあたしの耳には、
容赦のない打撃音と、
苦しげなうめき声が聞こえてくる。
ヤダ
もうヤダ
いつの間にかしゃがみ込んでいた体がカタカタと震えだす。
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