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「イブちゃん……これ……」
「み……やもと。ほたか……死んじゃう……」
あたしは焼けたコンクリートにぺたりと座って、
耳を塞いでいた両手を、自分の体に巻きつけた。
「死んじゃう……よ……」
酷く掠れてしわしわのコエ。
忍び寄る警鐘は
まるで聴覚検査のように
だんだんと大きくなってゆく。
頭の中で甲高い悲鳴が縦横して
近づいてくる救急車のサイレン。
繁華街の賑やかな彩りに照らされながら
アスファルトに拡がっていくのは――
「……んだよこれは! タカーっ!!」
「来るなっ!!」
組み合う2人に駆け寄りかけた宮本を、穂鷹の怒声が制した。
なぜか、こちらを少し驚いた様子で見ている王子の身体を
ゴツイ腕で横に押しやり上体を起こした穂鷹は、
「来んな。典宏。これは俺とコイツの勝負だ」
血が滲んだ唇でそう言うと、
膝を震わせながら、立ち上がった。
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