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ここ数日、
西園寺家の財力という毒水を浴びせられ続けていたあたしは、
その他に考えられる正当性の一切を放棄して
あたかも胡乱者を見る眼差しを
眼前で助手席のドアを開く王子の背中に向けた。
片手でドアを押さえてこちらを振り返った王子が、
あたしの眼差しを受けて、毛髪と同じ薄茶色の眉を上げた。
「どうしたの?」
きょとんとね。
何にも悪いことなんかしてませんよ。
的なその表情になんだか無性に腹が立って、
くるりと踵を返した。
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