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「イブ?」
「やっぱり電車で帰る」
「は? ちょ……待って」
「放して!」
掴まれた右手を振り切ろうと、
腕にぐっと力を込める。
けれど右腕はそれ以上に強い力で、
あっさり後方へ引かれていった。
よろける身体を反転させられて、
ふわりと優しく肩を掴んだ王子が
困ったように眉毛を下げてあたしの仏頂面を覗き込む。
「怒る理由が分からないんだけど」
本当はあたしだって免許証をお金で買えるなんて思ってない。
だけど、きっと。
無免許運転が見つかったとしても、
西園寺家の財力とか権力とか使って
揉み消すことは出来るんだよね。
だから平気で無免許運転なんて出来るんだ。
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