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「だって――だって――」 本物そっくりな免許証を ひっくり返して裏を見たり、 光に透かしてみたりするけど、 当然 あたしに真贋を見分ける才能はない。 「そんなに見んな。恥ずかしいだろ」 素人目には全く判別のつかない薄っぺらいソレを ひたすらガン見していたら、 赤信号で車を停車させた王子が ちょっとだけ乱暴になった口調で 見当違いな事を言って、 あたしの手から免許証を抜き取った。 次いで 反対側の手からもケースを取り上げて中にしまうと、 乱暴にシャツの胸ポケットに突っ込んだ。 「どういうこと?」 「徹夜明けだったんだよ。 いい加減、傷つくからな俺だって」
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