808人が本棚に入れています
本棚に追加
/1202ページ
「だって――だって――」
本物そっくりな免許証を
ひっくり返して裏を見たり、
光に透かしてみたりするけど、
当然
あたしに真贋を見分ける才能はない。
「そんなに見んな。恥ずかしいだろ」
素人目には全く判別のつかない薄っぺらいソレを
ひたすらガン見していたら、
赤信号で車を停車させた王子が
ちょっとだけ乱暴になった口調で
見当違いな事を言って、
あたしの手から免許証を抜き取った。
次いで
反対側の手からもケースを取り上げて中にしまうと、
乱暴にシャツの胸ポケットに突っ込んだ。
「どういうこと?」
「徹夜明けだったんだよ。
いい加減、傷つくからな俺だって」
最初のコメントを投稿しよう!