窓辺の猫

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一しきり抱き合った後、彼はあたしの枕を使い、あたしは彼の腕を枕に眠る。 最初は逆だったが、彼は枕がないとよく眠れないらしく、自然とそうなった。 阿建の腕は太くて柔らかいので枕に丁度いい。 今日は疲れていたのか、隣からはすぐ規則正しい寝息が聞こえてきた。 甘酸っぱい洋梨の匂いがまだうっすらと二人の上を漂っている。 最初に聞いた通りの年齢ならば、もう二十歳(はたち)になるはずだけど、こんな風にして寝入っている横顔を見ると、阿建は十八にもなっていないといつも思う。 あたしも本当は十六だと打ち明けていないから、彼の中では十九の女になっている。
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