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上海に出てこなければ出会うこともなかったけれど、田舎にいればつかずに済んだ嘘を二人とも吐き続けているのだ。
一緒にいればいるほど、言いたくても口に出せないことも増えていく。
本当は危ない橋など渡って欲しくない。
上の兄貴分たちのようにならなくてもいい。
舞庁に来る上の人たちを見れば、いくら身奇麗にしていようが、それが血塗られたものの上に成り立っているのは、あたしにも分かる。
誰かが消されたと聞くたびにあんたじゃないかと背筋が寒くなるのよ。
左腕の切り傷がまだ完全に消えてないのに、今度は右の肩にそんなに大きい痣が出来たのね。
抱き合うたびに、あんたの体には新しい傷が付いている。
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