ニンフェア、23歳。

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『良いのかい?簡単な事ではないと思うけれど。』 「ぼくにはそれくらいしかできませんから。少し待っていてください。」 頭の中で条件に一致する魔法陣を選び出し、永久に使われるわけにはいかないから回数制限を付け、対象は魔力を流した人のみに有効…という風になるように魔法陣を書き直す。それを、考えている時に切って、形を整えた紫の宝石に、光属性の魔力線で中に閉じ込めた。………うん。中で綺麗に光って、宝石がさらに綺麗に見える。成功だ。 「あとは……紫色の宝石だから…銀の方が落ち着いて見えるかな。」 コアに頼んで質の良い銀を用意してもらい、成型の魔法陣で金具を作って宝石を嵌めた。何度か振り回したりして、外れないかを確認。 「………よし。あ、出来ましたよ。このペンダントは、30回の回復が出来るように設定してあります。限界回数に近付くほど、宝石にヒビが入るように設定したので、その辺りは気をつけてくださいね。」 大体5分で完成した。やっぱり、魔法陣をアレンジすると少し時間がかかるね。 「………あれ?このデザイン、嫌でしたか?なら、他にも作り直せますけど……」 無言でこちらを見る紫水さんに少し不安を覚えて聞くと、慌てた声で止められた。 『いや、少し待ってと言われたから、1度持ち帰って作るのかと思っていたんだよ。本当に得意なんだね。』 「便利ですよ?魔法陣って。属性はほとんど関係なく魔法が使えますし、ぼくみたいに高速展開出来るようになれば、どんな魔法でも使えますから。」 ペンダントを差し出すと、ふわふわと持ち上がり、そのまま消えた。どこかにしまったのかもしれない。 『ありがとう。私は少し用事があるから、そろそろ帰るよ。君に幸運が訪れる事を祈る。』 紫水さんの鼻先が光り、ぼくの上に降り注いだ。これだけで、なんだか幸せを感じる。 「ありがとうございます。」 紫水さんは、そのまま転移で帰っていった。
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