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「おい日野! さっさと出せよ!」
バン!と森崎が僕の顔のすぐ側の壁を殴る。
「やめてよ・・・持ってないんだよ」
森崎は僕の顔を強くひっぱたいた。
あんまりにも痛くて、思わず涙が出た。
ガクガクと足の震えが止まらない。
森崎は僕のズボンに強引に手を突っ込み、財布を引きずり出した。
そしてお小遣いの二千円を抜き取ると、僕の顔に財布を投げつけた。
「しけてんなあお前よ、次はもっと持っとけや」
それからギロリと睨みをきかせた。
「チクッたら殺すからな」
森崎がどこかへ行った後、僕はその場にしゃがみ込んで泣いた。
放課後の校舎裏、湿気た空気で余計みじめになる。
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