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「凜!」 「っ」 ゆっくりゆっくり帰っていたからだろう。帰り着く前に俺を見付けて、バタン、と閉まるタクシーから急ぐように出て来た丹吾さん。その出で立ちに俺は、ただひたすら驚いた 「…丹吾さ…、その恰好、……撮影してたの?」 「秋物。暑くて死んじゃう」 「と、とにかく脱ぎなよ」 タクシー内はクーラーも効いてて良いかも知れないけど、ここは外で完全に炎天下。それなのにかっちりしたファー付きのジャケットに厚手のパンツ、そしてブーツ。…どう考えてもすぐに熱中症になるよこの人… 「丹吾さん?」
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