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「……ねぇ、あれ、返事?」 「返事?って、さっきから何の事?」 既に汗ばむ丹吾さんの表情は曇ってる。そっと握って来られた手は指先が冷たい 「…とりあえずこっち。うちにどうぞ」 「…」 ジャケットを脱いだ中は、白いティシャツ。それでもこの人はこんなに格好いい。どんなに髪型が乱れても、流れ落ちる汗すら、妙な色気を放つ。会ってしまえばやっぱり違う意味で諦めるしかないんだな、と 俺はやっぱり、この人が理想のま反対に居ながら、どうしても好きなんだ 「暑いね、クーラー付けるから、ちょっと待って」 たった何時間で部屋はむわっと湿度を持った暑さになってる。丹吾さんに上がってねと言ったまま先に奥へ行き、急いでスイッチを入れる …そしてそのまま振り向けずに、俯いた
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