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彼が同じ空間に居るってだけで嬉しい。触れたり笑ったり話したり、色んな事がしたい。心臓はうるさく鳴ったまま俺の額からも汗が落ちて行く
「…丹吾さん、俺ね。……」
ひくり、体は強張り、言葉が喉の奥に詰まる
後ろから回って来たアクセサリー付きの手。いつもみたいに引き寄せる事も、力を籠められる事もなくそこにただ回されて、俺の左の肩に、熱い体温の頭がそっと乗って来た
「…離して…」
「りん」
瞳に一気に膜が張ったように水分の集結を感じる。こんなに嬉しいのに
「離して。触らないで」
俺は役者だ。今までたくさんの役をして来たけれど、これ程他人を演じようと思った事はない
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