プロローグ

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「一体、どう言う事!?あなた、何考えてんのよ!」 両親の夫婦仲が良い。 それは、必ずしも子供の情操教育に良いとは限らないと、俺は考えていた。 「自分が何をしたのか、解ってるの!?」 例えば、子供が高校受験を控え、女の子との交際経験が無い、思春期真っ盛りの中学三年生男子である場合。 食事中、おかずを”あーん”したり。 外出中、お手々繋いで微笑み合いながら歩いたり。 消灯後、ギシアンな”生活音”を隣の部屋に聞こえる程立てたり。 あまつさえ、母親がその”生活”行動を、嬉々として息子に惚気たり。 むしろ、そんな生活環境で、グレずに子供が成績上位を保っているのなら、それは奇跡に近い事っーか、ヨクデキタムスコサンデスネ(親はともかく)っつーか。 まあ、ぶっちゃけウチの事なんだけど。 「雅博だって、再来年には高校受験・・・!」 「カーチャン。来年。」 「雅博は黙ってて。とにかく、これからお金が掛かるって時に!」 いやいやいや。 俺を引き合いに出しといて、俺に黙ってろ、は無いだろぉ。 しかも息子の年齢すら正確に覚えてないんかい。 それ(母、道子のボケ具合)はそれとして。 「それは理解しているよ。大丈夫。当分、生活には困らないだけの蓄えはある。」 「あ、そなの?じゃあ、俺が私立の付属高校受験しても・・・」 「そう言う問題じゃないでしょお!?」 いやいやいやいや。 ”そう言う問題”にしたのは貴女だ。母道子。 もうワケワカンナクなっちゃってるんじゃないか、母道子。 流石、”40過ぎてナニヤッテンダ”的な奇行とも呼べる前述した行動を何の躊躇いも無く実行に移すヒトだけの事はある。 「今まで大概の事は我慢してたけど、これは別よ!」 いやいやいやいやいや。 我慢しない事にかけては世界に通用する貴女が言うか。母道子。 とにかく、俺が言いたい事は。 俺の考えは間違っていた、と言う事だ。 昨日までの家庭環境の劣悪さをレアとすれば、今日の”両親の不仲”はSレアだろう。 自重は切に願うが、やはり両親が喧嘩している状況より、ラブラブの方がマシと言う物だ。 「心配いらないよ、道子。会社は辞めても、すぐに僕は立派な魔法使いになるんだから。」 ・・・ 前言撤回。 本日の家庭環境劣悪度。 ゴッドレアとさせて戴きます。 ふざけんじゃねぇ。 父、公一。
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